― 半減期と金利から読み解く新時代 ―
導入
ビットコインはこれまで、約4年ごとに「暴騰と暴落」を繰り返してきました。
2013年、2017年、2021年と、いずれも半減期(マイニング報酬が半分になるイベント)の後に価格が急上昇し、ピークを迎えたあとに大きく下落しました。
例えば、
- 2013年は 約10万円(1,000ドル) まで上昇したあと、80%近く下落
- 2017年は 約220万円(20,000ドル) から84%の暴落
- 2021年は 約750万円(6.9万ドル) から約77%の下落
こうした流れは「ビットコインの4年サイクル」と呼ばれ、投資家の間でひとつの“相場の法則”として語られてきました。
しかし2025年の今、状況は大きく変わっています。
かつて相場を動かしていたのは個人投資家でしたが、今やETFを通じた機関投資家や国家ファンドが主役となりつつあります。さらに、米国は利下げ局面に入りつつあり、過去の暴落局面とは金融環境が違います。
果たして、これまでのような「ピーク後に80%の大暴落」というパターンは繰り返されるのでしょうか?
1. ビットコインの4年サイクルとは何か
半減期と価格の関係
ビットコインは「マイニング」という仕組みで新しいコインが発行されます。
そして約4年ごとに 半減期 と呼ばれるイベントが訪れ、マイニング報酬が半分になります。
- 2009年:最初のブロック報酬は 50BTC
- 2012年:初の半減期で 25BTC
- 2016年:12.5BTC
- 2020年:6.25BTC
- 2024年:直近の半減期で 3.125BTC
供給量が減れば希少性が高まり、価格が上がりやすくなります。実際に、これまでの相場は「半減期後に大きく上昇し、その後ピークを迎えて暴落する」という流れを繰り返してきました。
2. 過去の暴落サイクルの実例
2013年:初めてのバブルと80%暴落
- ピーク:約10万円(1,000ドル)
- 下落率:80%
2012年11月に初めての半減期が訪れ、マイニング報酬が25BTCに減少。価格は急騰し2013年にバブルを迎えましたが、マウントゴックス事件などの影響もあり翌年には80%下落しました。
2017年:ICOバブルと規制ショック
- ピーク:約220万円(20,000ドル)
- 下落率:84%
2016年の半減期後、ICOブームで資金が流入。価格は史上初の200万円超えを達成しましたが、規制強化と金利上昇で翌年に大暴落しました。
2021年:機関投資家参入とその後の失望
- ピーク:約750万円(69,000ドル)
- 下落率:77%
2020年半減期後、テスラやマイクロストラテジーなどの機関投資家が参入。史上最高値を更新しましたが、利上げ・テラ/ルナ崩壊・FTXショックで77%下落しました。
3. 暴落が起きた背景
金利上昇がリスク資産を直撃
過去の暴落はいずれも金利高水準で発生しました。
- 2014年:テーパリング開始
- 2018年:FRBの利上げ加速
- 2022年:急ピッチの利上げ
金利が高まると投資家は安全資産へ資金を移し、ビットコインのようなリスク資産は売られやすくなります。
個人投資家中心の投機市場
黎明期から2021年ごろまで、主役は個人投資家でした。短期利益を狙う心理がバブルを作り、同時に崩壊も呼び込みました。
投機的テーマの崩壊
- 2013年:マウントゴックス事件
- 2017年:ICO詐欺の横行
- 2021年:テラ/ルナ崩壊、FTXショック
その時代の「投資テーマ」がバブルを作り、それが崩れることで暴落が加速しました。
4. 暴落サイクルが終わる可能性
市場の主役が「国と機関投資家」に変わった
ETFを通じて長期資金が流入し、エルサルバドルのように国家レベルでの保有も始まりました。個人主導の「熱狂と失望」のサイクルは弱まっています。
利下げ局面が近い
過去の暴落はいずれも金利高水準で起きましたが、2025年現在は利下げが近づいており、リスク資産にとって追い風となる可能性があります。
市場の成熟化
規模が拡大し、流動性も向上。透明性が増し、長期資金が流入することで過去のような極端な暴落は起きにくくなっています。
5. それでも暴落の可能性が残る理由
株式市場との強い相関性
NASDAQを中心とした株式市場が崩れれば、ビットコインも同じように売られる可能性があります。
地政学リスクや規制強化
各国の規制や地政学的な混乱は今後も相場を大きく動かすリスクです。
新しい投資テーマのバブル化と崩壊
AIトークン、CBDC関連など、新しいテーマが一時的な熱狂を生み、崩壊すれば調整が加速するリスクがあります。
6. まとめ・今後の戦略
過去のような80%級の暴落サイクルは弱まる可能性が高い。
ただし30〜50%規模の調整は今後も十分に起こり得ます。
だからこそドルコスト平均法(積立投資)が有効
・高値掴みのリスクを減らせる
・暴落局面でも安値を拾える
・長期的に平均購入単価を下げられる
ビットコインは「一夜で億万長者になるギャンブル資産」から、「長期積立で育てる成熟資産」へと進化しつつあります。
読者の皆さんも、過去の暴落を恐れるのではなく、新しい相場サイクルに合わせた積立投資戦略を検討してみてください。
コメント